2008年3月28日

松本伊代/センチメンタル・ジャーニー(1981)

作詞:湯川れい子
作曲:筒美京平
編曲:鷺巣詩郎

伊代ちゃんのデビューシングルになります。

伊代ちゃんの曲、と聞いて皆さんは何を思いつくのでしょうか。

伊代ちゃんの曲には尾崎亜美による「時に愛は」といったJ-POPクラシックといってもよい名曲、テクノポップ的な斬新なアレンジの「おとなじゃないの」、ラテンテイストのトロピカルポップ「太陽がいっぱい」など、音楽的に面白い名曲、佳曲が多いです。
にも関わらず伊代ちゃんの歌、と聞いて「センチメンタル・ジャーニー」しか思いつかない、という人は多いのではないでしょうか。それだけインパクトが強かったということだと思います。

曲のタイトルは作詞の湯川れいこが自分が大好きなエルヴィス・プレスリーの有名曲のタイトルから拝借しているものと思われます。(ちなみにデビュー2曲目は「ラブ・ミー・テンダー」でこれもエルヴィスの曲のタイトルです。)

この曲の最大のインパクトは何と言っても「伊代はまだ16だから」という歌詞にあると思います。歌の中で自分の名前と年齢をアピールしているわけです。デビュー曲で一気に自分のプロフィールを世間の人にアピールできるという意味で非常にうまい売り方といえます。
(後にわらべの「かなえちゃん」役だった倉沢淳美がこの方式を大幅に拡大した「プロフィール」という曲でデビューします。この曲ではとうとうサビが「自分の名前の連呼」というところまで行きますが、結果的にはあまり功を奏さなかったようです。何でも、やり過ぎはいかん、ということでしょう。)

そしてこの歌詞がインパクトを持って伝わってくるもう一つの要因として筒美京平の天才的な作曲センスがあると思うのです。

「伊代はまだ(だだっだだっ)じゅーろくだーからー」

サビ前の歌詞としてこの譜割り、そして(だだっだだっ)。

この(だだっだだっ)が間に入ることでこの1行の歌詞にある種のドラマが生まれます。

例えば、こんなフレーズ。

「きょうのおかずはハンバーグ」

「きょうのおかずは(だだっだだっ)ハンバーグ」

「ハンバーグ」というありふれたおかずが圧倒的にドラマチックでゴージャスな存在に変貌しているのです。声に出して言ってみた場合のこの2つに生じる決定的な差をお分かり頂けるでしょうか。この曲で筒美京平は伊代ちゃんの16歳という若さと勢いを、たった音符4つと休符2つで、ドラマチックに演出しています。

筒美京平という人はこういう魔法のようなことを、さも当然のごとくさらりとやってのける人なのです。

鷺巣詩郎のキラキラしたアレンジもアイドルのデビュー曲らしい素晴らしい仕事です。

かくして「センチメンタル・ジャーニー」は伊代ちゃんの代表曲として人々の記憶に残るのでした。

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